(丸井→←変換主←仁王?な雰囲気です。短い)





「ね、丸井くん」
「あん?あっ、あぁ、。何なに、どした?」


俺の肩を突っついたが、ふわり、ほんの軽く目の前で笑ってみせただけで俺の心臓スイッチが入っちまう。
ゲームでいうオートモード?どうにも設定変えらんねぇんだよなー、んーまぁ、変えるつもりはさらさらねぇけど。

そんなバクバクうるせー心臓を無理矢理抑え込んで、動揺を悟られないよう澄ました顔して返事する。
ちょいドモッたのはご愛嬌ってね、見逃せぃ。


「仁王くん、どこ居るか分かるかなぁ」


やっぱ可愛いよなーなんて呆けてた俺は、その言葉でズガーンと頭を思いっきり殴られたような衝撃を受けて目が覚めた。
そりゃあもう、バッチリと。
だってさ、他でもない仁王だぜ?
俺と同じクラスで同じ部活で、俺と同じよーに髪色弄ってるアイツ。
はぁ。もうさー、どうせそんだけカブってんなら、俺の方選んだって別に変わりねーじゃん?
(は?違う?あ、性格?顔?……身長?知るか!)
や、仁王が嫌いってワケじゃねーよ。そうじゃねーんだ、何となくニュアンス、わかるだろ?
えっとだな、いいなーって思ってる子の口から俺以外の男の名前聞くのって気分悪くね?な、悪ィだろぃ?


「んーそうだなー……今日は晴れてるし、三限目前のまだ暑くない時間だから屋上じゃね?」


でも俺ってば優しいからさ、引きつっちゃった笑顔で真面目に答えちゃったりするワケよ。
アイツがマジで居そうなところ、しかもこりゃ行くしかねーだろな納得の理由付き。
あー俺ってば、なんてイイヤツ!

でも本心はそこに居なきゃいいって思ってたりしちゃってねー。フン、仁王なんて校舎裏で野良猫と戯れてろ。
それで屋上でアイツを見つけられなかったは他のところ探す前にタイムオーバー、三限目はちゃんと教室の席に座ってればいい。
別に俺の言葉が外れてたって、データマンな柳じゃねーんだ、大したことねぇ。
ただ(俺が)気になるようだったら三限目終わった後にに「違ってた?悪かったな」ってフォロー入れとけば好印象。
しかもに気軽に話しかける理由があるっていう一石二鳥?的な?ははっ、

あー俺ってば、なーんてヤなヤツ!


「そっか、ありがとー」
「おう」
「あ、お礼にコレあげる。じゃね、行ってくる」
「お、おう。気ィ付けてな」


そう言うと、はパタパタと駆け足で教室を出て行ってしまった。
綺麗にラッピングされた袋を俺の手にちょこんと乗せて。

俺の手に残されたその袋のリボンを解いて開いてみると、中には美味そうなクッキー。
一枚手に取って、丸ごと口の中に押し込んで勢いよく咀嚼してやった。
そしたら粉末が喉に掛かって思いっきりムセた。涙目なのはそのせいだからな。















「ね、すごいよー。丸井くん、仁王の居場所当てたっ」


物凄いイイ笑顔で屋上に飛び込んで来たかと思うたら。なんじゃ、第一声がそれか。


「はぁ……お前さん、まーた俺をダシにしたじゃろ」


偶にはこうやって俺に絡みに来よる。
ブンちゃんと何かしら言葉を交わしたいがために俺を探す言うんを口実にしとるらしい。
ったく、この俺を利用するとはな。


「えー。だめー?」
「はあ……好きにしんしゃい」
「まあまあ、これあげるから許して?」
「……プリ」
「あ、ねぇねぇ。丸井くんは私の手作り、美味しいって思ってくれてるかなぁ」
「……知らん」


単なるクラスメイトにこうやって恋愛相談モドキをされるようになったんは、いつからやったか。
言っておくが俺ぁ詐欺師とは呼ばれても、恋の行く末を視る占い師になった覚えは無いぜよ。
面倒はさっさと回避したい、話を流したり生返事ばかり繰り返してるっちゅうに、なかなか手強くて離してもらえん。

それにしてもブンちゃんの分だけ手作りっちゅうのに、ブンちゃん本人は気づいて無いんじゃろなー。
むしろ俺のことだけしか聞かんわ、俺とのふたりして教室におらんわで、
逆にブンちゃん、カンチガイしとるんじゃなか?

ったく。回りくどいことせんと、早いトコくっ付くなりして俺を解放してほしいぜよ。
そう考えながら、から受け取った個包装された菓子の包みをはがしていく。

……それにしても、俺の分の菓子は市販て。手作りするなら大量に作って俺の分も捻出すればえぇモンを。
材料費も安くあがるじゃろ。なんじゃ、オトメゴコロってやつか?なんて面倒な。
第一、手作り美味しいと思ってくれてるかなぁなんて言われても、味も知らんモン答えられるか。

もそもそパサパサした、なんかよう解らん菓子を咀嚼しながら思う。
飲み物が欲しい。それと、やっぱ、なんか悔しい気がするからブンちゃんには言うてやらん。















(なんだよ、戻って来ねーじゃん……)


三限目になっても戻って来なかったと仁王がそんな話をしてるなんて。
うっかり“イイヤツ”引いちまって、話しかけるアテが外れてフテ寝決め込んでた俺が知る由もなかった。










そしてブンちゃんは三限目の教科担当の根津ちんに教科書で頭をはたかれるんです。(笑)
根津ちんは幸村くんと交流中の男主人公話参照のこと^^
学園祭でブンちゃんが「仁王の居場所を聞くなら、菓子のひとつでも持ってこい!」と言っていたので、こんなお話。




作成2011.05.26きりん