(「攪乱」のつづき ※怪我、若干流血表現アリ注意 短い)













































一度だけ反射的な悲鳴をあげた後。
身体震わせながら廊下に座り込んで、自分の右手を抱えそれきり黙り込んでしもたが視界に映る。

頭ではを今起こってる何かから守らなアカンて解ってた。
せやけど咄嗟に彼女へ向かって伸ばした俺の左手が目に入った瞬間、どうにも動けんようになった。

手の甲がパックリ一直線に切れとって、そんで半分から下は全部が赤に染まってた。
そっから伝ったモンが小指の爪からポタリポタリと先へ落ちて、廊下に丸く広がって。―――


「おいお前、何しやがった!」いつの間にか宍戸がひとりの女子生徒を取り押さえていて、
「きゃあああ!!」近くにいた数人はそれを目の当たりにしたからか血を見たからか悲鳴をあげていて、
「何々?なんかあったの?」人だかりの後ろの方から聞こえてきて、
「おい、侑士!血ィ出てるぞ、保健室にっ」駆け寄ってきた岳人が必死の形相で俺の肩に手を置いていて、
、大丈夫!?」と仲の良い友達と、さっきと変わらない、答えずに黙ったままうずくまるがいて、


俺はパニックになるはずやった、実際傷ついた手ぇ抑えてうろたえたような覚えがある。
でも頭の隅っこはどっか冷えてて。冷めたっちゅうか、なんとなく、覚めたような。
目の前のそんな光景全部がどっか遠いところの、テレビでも見とるような感覚で
実際に自分の身に降りかかったような気ィせんくて。


―――そのうち痛い目を見るぞ


そんな中。頭の中でクリアに映ったのは、跡部の声と背中だけやった。










いたい!



作成2010.07.14きりん