(※短い)
しとしとしとしと、
しとしとしとしと。
閉じられている柳君チのカーテンをそっと持ち上げ、外を覗き込んでみました。
外は雨。梅雨だから仕方が無いのだけれど、雨が降っているとやっぱり気が滅入ります。
でも柳君的には晴れだろうと雨だろうと休日は室内でデータの整理か読書をするから関係ないみたいです。
今もさらさらさら、ノートにペンを走らせる音が私の背後から聞こえます。
柳君は相変わらずデータの整理に夢中で一向に私を構ってくれそうにありません。
なので私は雨の様子を観察してみようと思います。
ずっと見てると雨はひとつひとつ違うという事がわかります。
大きさ、形が全部バラバラで。個性があります。まるで人間みたいです。
窓ガラスに一滴の雨が落ちてきました。
小さなちいさな雨。まるで私みたいです。
雨の私が窓の上から下へ、ゆっくりと落ちてきます。
雨の私の隣に、雨の私より大きな雨がいます。
この雨の私より大きな雨は柳君みたい。
雨の私と雨の柳君は同じ速度でゆっくり上から下へ落ちていきます。
あっ、雨の私が雨の柳君にどんどん近づいています。
くっつきそうでくっつかない雨の私達。
なかなかくっつかない雨の私に雨の柳君は痺れを切らしたのか、
雨の柳君から雨の私にくっついていきました。
ふたつの雨はひとつになり、ひとつの時より大きくなって。
ゆっくり落ちていってたのに、はやくなって落ちていきました。
そして、消えてしまいました。
なんだか、私の一生を見ていたみたい。
「そうか。お前は俺とくっついて、一生を過ごすのか」
いつのまにか私の背後に立っていた柳君。
どうやら今まで全部声に出てたみたいで。
私は恥ずかしくなって何も言えずに俯いてしまいました。
柳君はそんな私の背中にぴったりくっついて。
映る影はひとつに。
「……まだ、消えるな」
「え?」
「いや、なんでもない」
やべぇ、書いといてなんですが恥ずかしい…っ!(笑)
作成2010.06.04きりん