(※ぶっちゅうしてます 短め甘め)





、飴ちゃん食うか?」
「うん、ちょーだい」
「はい、飴ちゃん」


そう言って、忍足は口を開いて舌を出す。
その上には予想通り、甘そうなピンク色の球体が。


「いや、それならいい」
「なんや詰まらんやっちゃな、ほら」
「ありがと」


差し出された包みを受け取って開くと、出てきたのは忍足が食べているのとは違うオレンジ色のそれ。
それをぽいっと口の中に放り込んでコロコロと口の中で転がす。
すれば、見た目通りのオレンジ風味にそれっぽい酸味と甘さが口いっぱいに広がった。

美味しいとは思う、でも正直私はオレンジ味ってそれほど好きじゃない。
そんなことは、貰った身だから言わないけど。


「なんや微妙な顔して。いつも飴ちゃん食うとるときは、もっと美味そうな顔しとったやろ」
「え、わかる?」
「バレバレや、阿呆。オレンジ嫌いやったん?堪忍なぁ」
「……じゃあ交換して?」


さっき忍足がしたみたいに、私も口を開いて舌を出す。
その上にきちんと球体が乗っているのは、忍足の瞳に映る自分の姿で見た。


「なんや、時間差ボケかい」
「それ何味?」
「ピーチ味。好きか?」
「ん」


カチ、球体と球体がぶつかる音がした。

じわりと舌の上に広がる甘さはそう変わらないけど、鼻から抜けるときに感じる風味が増えた。
オレンジと、ピーチ。そういえばなんだっけ、なんか知ってる気がするこの組み合わせ。
そうだ、この間好奇心からコンビニでカクテル缶の表示を見たときのアレ。
(飲んでみたいなーって思ったけど、制服姿だったし。明らかに買えなかったから見ただけね)

そっか。こういう感じなのかもね、あの味。


「っは、結構イケる」
「んん?何がや」
「飴舐めて、オトナになった気分」
「意味わからんわ……」


じゃあ、後5年くらい経ったら一緒に飲んで答え合わせしよう。
それまでは、これに酔うことで我慢しておく。










こたえ:ファジーネーブル(材料 ピーチリキュールとオレンジジュース)
コドモのオヤツの飴ちゃんも使い方次第でオトナにー、てそんな感じ




作成2010.02.25きりん