(※微エロってやつだと思います)





ベッドへ乱暴に放り込まれて、たぶん制服のスカートはシワシワになってるんだろう。
ヤバイ殺されると思って急いで起き上がろうとするも、それより先に覆いかぶさってこられたせいで逃げ道は塞がれ。
懇願するように見上げれば、到底許してなんてくれないような見下す冷たい目と歪められた口元が視界の全てになった。


「え、えいしろーっ」
「そんな顔してもダメ、キミが悪いんでしょ」


彼は私の身体の両側に付いていた手のうち、右手だけを持ち上げた。
てっきりそれはこちらに向かって伸ばされるものだと思い、思わず身構えたけれど。
それとは反し彼は彼が普段するように、眼鏡の左側フレーム部分を持ち上げた右手の手の甲で軽く持ち上げた。

神経質そうなその仕草、普通の人がそれをするんだったらなんとなく違和感があるのに
永四郎はごく自然に見せてしまうから不思議。
ああ、いつもの永四郎だ。

目の前の光景があまりにもいつも通り過ぎたせいで、
うっかり不味い状況に置かれている今の自分の事が頭から抜け落ちてしまって。
力を抜いたその一瞬の油断、それは永四郎による罠だったのだろうか。


「やっ、ダメ!」


素早く制服の裾を掴まれて、思い切り上へ引き抜かれてしまう。
ベッドへ放り投げられたときから私の両手はバンザイ状態だったから、それはもうあっけなく。
上半身を心もとない下着一枚にされてしまい、せめて両腕で覆いたかったけれどそれは予測済みだったらしく先手を打たれた。
彼の右手で両手首を拘束されてしまって身動きが取れない。


「もう、服脱がなくても出来るでしょっ」
「そんな生意気言って。ゴーヤーつっこまれたいの」
「意味わかんないし!なんでそうなるの!」


だけどこのまま大人しくヤられるなんて勘弁、だって永四郎って容赦が無いからいつも痛いんだもん。
抵抗を試みようと足を動かそうとしても、こっちも彼の両膝で押さえ込まれているからビクともしない。
しばし攻防を続けていたけれど、やっぱり力では勝てない(他に何なら勝てるのって言われても思いつかないけれど)。
とうとううつ伏せにされ私は彼に背中を向けてしまう。後ろから忍び寄る、陰。


「あぁん!ヤダ!永四郎、痛い!」


いつもそうだ、いつも後ろから思い切り痛めつけてくる。だから背中は絶対に見せたくなかったのに。
グリグリと力いっぱい指で圧迫し、そこが赤く腫れてしまおうとお構いなしで。
私がどんなに泣き喚こうと、決して止めてはくれないんだ。

いつも彼は「キミを気持ちよくしてあげているんだから、感謝なさい」なんて言うけれど。
本当はそうすることで自分が気持ちいいからじゃないの。
痛がる私の姿を見て愉しんでいることは知ってるのよ、このドS!

それから!一番の目当てである、コリコリとしたそこの感触を指で感じては悦ってることも知ってるのよ。
確かにそこを刺激されると、私も気持ちいいと感じるのは否定しないわ。
でも永四郎は力加減なんて無視するから、気持ちいい通り越して私は痛みしか感じないのっ。


グリッ


「ひゃん!お願い、もう止めてよう……」


奥の奥まで刺激するように、永四郎がぐっと力を込めれば
今までのとは比べ物にならないような、ひときわ大きな痛みが襲ってきて。
それによって脳が熱を持ち、ジワジワと痺れて次第に痛みが和らいでいく。

ふっ、と感じた感触。
もしかして、これって快感?それとも………















「黙りなさい。全く、こんなに“コリ”が固まるまで放っておくなんて……」
「いやーん!ごめんなさいってばぁ!」
「いいえ、今度という今度は許しませんよ。何度言ってもキミは溜め込むんですから」


肩甲骨の周辺を丹念に指圧していき、それは肩、首筋まで及ぶ。
グキグキという自分の身体から普段聞こえることの無い音を立てながら進められるので、
いつか私の身体は折れてしまうんじゃ無いだろうかと、
毎回戦々恐々しながらこのマッサージという名の拷問を受けている。

彼はマッサージ(というより、人のコリを触ったり痛がっている姿を見ていることだ絶対)が趣味らしく、
テニス部の部員もたびたび犠牲になっているが、誰より一番の被害者は私だと思う。
私は人より肩がこりやすく、取ったそばからコリが溜まっていくほど。
だから定期的に、こうして永四郎の餌食になってしまう。

永四郎は「少しでも溜まったらすぐ言いなさいよ」と言うけれど、そんなの嫌に決まってる。
痛みに耐えられないからいつも逃げ回っていたのだが、とうとう今日捕まってしまい、結果はご覧の通り。


「絶対、次は逃げ切ってやるんだからぁ……」
「おや、逃げ切れると思っているだなんて。キミは幸せな思考をしていますね」
「うう……」
「さぁ次は腰ですよ、すぐ済むから大人しくなさい」
「〜〜〜〜〜いったぁーーい!」


そんな彼を、人は「コリ殺しの永四郎」と呼ぶ。










なんていうか……アリガチな感じですんまそん



作成2010.04.03きりん