(※えろい関係有り 甘め)





「なぁ。は俺のこと、……好きなのか?」


コトが終わって、ベッドの上に素っ裸で二人並んで寝転がってる時。
そういう時に言う台詞で合ってんの?それ。


「そりゃあ好きよ?じゃなきゃ今ここにこうして無いじゃん」
「まぁ、そりゃそうだがな」


飲んでいたミネラルウォーターのボトルはサイドボードに置いて。
改めてベッドの中に入ってきて、私を抱きしめる跡部。
素肌が触れ合って、直に体温を感じてあったかい。人の体温って、安心する。

もっと跡部の体温が欲しくって。前と比べて逞しくなった跡部の胸元に擦り寄った。
頭をグリグリすると私の髪の毛がくすぐったいみたいで、跡部は逃れようと軽く身をよじる。

悪戯心が芽生えてきた私は逃がさないとばかりに、背中に手を回して腕に力を込めて。
もっと跡部に擦り寄ってもっと頭をグリグリした。

すると、手がにゅっと伸びてきて。
笑顔で「やめろってーの」って言いながら私の頭をガシガシってするの。
跡部の大きな手で頭をガシガシやられてるときって、凄く好き。気持ち良いの。


「思ったんだけどよ……お前、俺に“付き合って”とか言わねぇのな」
「あー。そういえば、そうね」
「だから、俺のこと好きじゃねぇんだと思った」


つまり跡部が言いたいのは、

好きなら、
その人と付き合って恋人同士になりたいモノじゃ無いのか。

って事なんだろう。


「でも、私たちが今更“付き合う”って形を取っても何も変わらなくない?」
「アァ?」
「二人で買い物行くし、ご飯も食べに行くし。キスもするしこーやってセックスするし。
これって、“付き合ってる”のと何ら変わりは無いと思うけど。」
「……まぁ、な」


私が反論したらため息ついちゃって、私を抱きしめていた腕は離れていって。
淋しそうに私に背を向けちゃった。
淋しいのと、ちょっとだけ不機嫌オーラを出したその背中は、いつもは広くて好きだけど。
今は嫌い。

いつも思うんだけど。
私に言わせなくても、そうしたいなら自分で言えばいいじゃん。って、いっつも思うんだけど。

決めた。今日こそ、跡部から言わせよう。


「じゃあ。跡部は私のこと、好き……?」
「アーン?ッ、おい……」
「どうなの……」


さっきまでの声や口調とは打って変わって、切なげな声で言ってみる。
跡部の広い背中に腕回して、ぎゅ、て後ろから抱きしめた。
もう一度感じる、跡部の体温。
あったかさと行為後特有の眠気で頭が呆っとしてきたけど、答えを聞くまでは意識飛ばしてたまるか。

跡部の心臓の辺りに手を持っていってみる。
すごい、脈打ってるのが解る。
背中に耳をつけて聞くだけでも、心音が伝わってくる。
脈打つ力は決して早くは無いけど、それでも大きく力強い。


「俺は……ちっ、そんなモン、テメーで解るだろが」
「いや。跡部の口から聞きたい」


頭を上げてちら、と跡部の頭を見る。
ぐしゃぐしゃになった髪の毛の間から少し紅みがかった耳がひょっこり顔を出していて。
あぁ、この人。ホントに照れてる。あの強気な跡部が、こういうときは照れ屋になるんだ、可愛い。


「すっ、す……好きだぜ。たりめーだろ、そんな………って、あークソ!」
「ふふ。それで?」
「それで?って、何だよ……」


くるっと振り返った跡部の顔は今まで見たことなんて無い、まっかっか。
目なんて忙しなく泳いでいて、口元は何か言いたげにムズムズしてて。


「好きだから、どうしたいのかなーと思って」
「言わせんなよ……


……俺は、と付き合いたい。俺に、安心できる確かなモノ、くれねーか?」


まっかっかなのは変わりないけど、その瞳は真摯に私を捉えていて。
ホント。全部に真っ直ぐだよね、跡部。そこが、―。





「私の答えは、言わなくても解るでしょ」
「テメェも言葉で言え!」










跡部に告白され隊



作成2010.03.17きりん